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「なぜ貧しい国はなくならないのか~正しい開発戦略を考える~」読んでみた

こんにちは!「読書で生きていく」です。

今回は、世界経済を大局的に掴むことができる、 大塚啓二郎 著 なぜ貧しい国はなくならないのか~正しい開発戦略を考える~ を、読んでみました。

 

なぜ貧しい国はなくならないのか~正しい開発戦略を考える~

オススメ度:★★★★★

 

~目次~

 

何が問題なのか?、開発経済学とは何か?、まず定義からはじめよう、所得の国際比較、所得と「人生の質」の指標、所得と貧困、基本的視点と本書の構成、まとめ、貧困は減っているか?、貧困者はどの国にどれだけいるのか?、貧困の構造を考えよう、人口の年齢構成と貧困、就業構造と貧困。どういう人々が貧困か?、貧困と所得分配、まとめ、なぜ貧困を撲滅できないのか?、ストックの蓄積には時間と金がかかる、援助が足りないのか?、効果的な開発戦略がわかっていない、最近話題になった開発経済「論」、まとめ、何が起こっているのか?、飢餓は是が非でも避けたい、経済発展と農業問題、アジアとアフリカの食糧問題、熱帯アジア―絶望的食糧不足から食糧増産へ、アフリカ―慢性的食糧不足から脱却するチャンス、アジア農業の未来、世界の穀物マーケットはつながっている、まとめ、東アジアから何を学ぶか?、製造業の国際競争は厳しい、中国は元気、日本は元気がない、東アジア型の経済発展の秘訣、アフリカは停滞から抜け出せるか?、まとめ、してはいけないこと、しなくてはいけないこと、途上国がしてはいけないこと、これまでのような農地改革、大規模農業支援、むやみな社会林業、性急な重化学工業化、大企業支援、高い最低賃金、まとめ、途上国が「豊か」になるためにすべきこと、どの産業も発展戦略の基本は同じ、アフリカの農業開発戦略、製造業の発展戦略、近代的サービス産業の発展、農業国から工業国へ、誰がなにをすべきか?、世界がもっと真剣に取り組むべきこと、MDGsからSDGsへ、気候変動と被害の予測、環境クズネッツカーブはあてにならない、気候変動の元凶、途上国は積極的に世界の枠組みに参加を、むすびにかえて―「持続的」発展の設計図

 

~あらすじ~

 

開発経済学の研究を続けてきた著者による、開発経済学の入門書とも言える一冊。開発経済学とは、貧困にあえぐ発展途上国を、どのように発展させていくのか、ということを研究する学問。筆者は、アフリカやアジア(特に南アジア)に実際に足を運んで、現地の貧困の実態を知ったという経験がある。そのエピソードをふんだんに取り入れつつ、具体的に、そのような地域の貧困を解決するには、どんな方法を取ることが最良と思われるか?について、議論を深めていく。最後には、環境に考慮することが発展途上国を救う鍵であるとして、どのように環境を保護するのか?についても、持論を展開する。

 

~感想~

 

正直、大学の課題図書に指定されていなければ、一生読むことはなかったであろうとは思いますが、非常に読み応えのある本でした。アフリカやアジアの悲惨な貧困の実態について、この本を読んで初めて知りました。

貧困を解消する方法が、農業→工業→サービス産業の順に、生産を拡大していくことだ、という前提に沿って、貧困を解決しようとすると、そこにある問題が生じます。それは、トレードオフの関係が働くという点です。ある国が農業で発展したとすると、ほかの国が農業で発展することは難しくなるのです。そういった問題点を加味しつつ、最良策を構築していくというところが、面白いと思いました。それから、経済学部生ならではかもしれませんが、「あっ、これは、制約付き最適化問題だなぁ」とも思ってしまいました。

みなさんが心配していることだと思われますが、経済学的な内容や、数式は、ほとんど出てこないので、気軽に読み進められると思います。